みなさんこんにちは♪
奈良香芝市にある自費リハビリ施設
脳梗塞リハビリMe:RIZE(ミライズ)理学療法士の梅田です。
お陰様で2025年11月末に奈良県を中心に大阪、兵庫、京都、和歌山、三重など関西中から脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)の後遺症やパーキンソン病、脊髄小脳変性症などにお悩みの方からお問合せを頂き、延べ8、000人以上のお客様とリハビリをご一緒させていただきました!
大変多くの脳疾患にお悩みの方々のお力になれたことを嬉しく思います。
さて、そんな脳梗塞リハビリミライズから本日は皆さまへ
「パーキンソン病の方が家でできる二重課題(デュアルタスク)トレーニング」
についてお話をさせていただければと思います。
ぜひ最後までお付き合いください。
「歩いている時に話しかけられると、足が止まってしまう」 「考え事をしながら歩いていたら、つまずきそうになった」 「お盆を持ってお茶を運ぶのが、怖くてできなくなった」
パーキンソン病と診断された方、あるいはそのご家族の中で、このような経験をお持ちの方はいらっしゃいませんか?
これらは単なる「不注意」や「加齢による衰え」ではありません。パーキンソン病の特性によって、「2つのことを同時に行う能力(二重課題能力)」 が低下していることが原因であるケースが非常に多いのです。
この能力が低下すると、日常生活での転倒リスクが高まるだけでなく、「怖くて外に出たくない」という閉じこもりにもつながりかねません。しかし、脳には可塑性(かそせい:変化し適応する力)があり、正しいトレーニングを行うことで、機能を維持・改善できる可能性があります。
今回は、脳梗塞リハビリミライズが専門的な視点から、ご自宅で安全に取り組める「二重課題(デュアルタスク)トレーニング」について、その理論から実践メニューまでを徹底解説します。
目次
- なぜ「ながら動作」ができなくなるのか?(脳の仕組み)
- 二重課題(デュアルタスク)トレーニングの重要性
- 【最重要】自宅トレーニングを始める前の「安全の掟」
- 実践!レベル別デュアルタスク・トレーニング
- 日常生活の中にリハビリを溶け込ませる工夫
- 「できなくなった」と落ち込む前に:リハビリ専門職の役割
- まとめ:脳は何歳からでも学習できる
1. なぜ「ながら動作」ができなくなるのか?(脳の仕組み)
パーキンソン病の方が「歩きながら話す」「物を持ちながら歩く」といった動作を苦手に感じるのには、明確な脳科学的な理由があります。
「自動化」のスイッチが入りにくい
私たちの脳には、大脳基底核(だいのうきていかく)という部分があります。ここは、一度覚えた動作(歩行や自転車の運転など)を、意識せずに自動的に行えるようにコントロールしている場所です。これを「運動の自動化」と呼びます。
健康な成人は、歩くときに「右足を出して、次は左足を出して、重心を前に移動させて…」といちいち考えません。大脳基底核がオートパイロット(自動操縦)で体を動かしてくれるため、脳の司令塔である「前頭葉(ぜんとうよう)」は、「今日の夕飯は何にしようかな」と考えたり、隣の人と会話を楽しんだりする余裕が生まれます。
しかし、パーキンソン病になると、ドパミンの不足によりこの大脳基底核の働きが低下します。すると、オートパイロット機能が効かなくなります。 その結果、どうなるでしょうか?
患者様は、意識的に「前頭葉」を使って歩く必要が出てきます。「足をしっかり上げよう」「リズムよく歩こう」と、脳の意識を歩くことに集中させなければなりません。これを「意識的な制御」と言います。
脳の容量オーバー(キャパシティ不足)
ここで問題が起きます。 歩くために脳の意識(前頭葉のリソース)を100%使っている状態で、「ねえ、明日の予定だけど…」と話しかけられたとします。 すると、脳の意識の一部が「会話」に向けられます。
- 歩行に必要な意識:100
- 会話に必要な意識:30
- 合計:130(容量オーバー!)
脳の処理能力を超えてしまい、優先順位の低い方、あるいは維持が難しい方の動作が停止します。多くの場合、それは「歩行」です。これが、話しかけられた瞬間に足が止まってしまう(すくみ足)、あるいはバランスを崩してしまうメカニズムです。
この現象を克服するためのリハビリテーション手法が、今回ご紹介する「二重課題(デュアルタスク)トレーニング」です。
2. 二重課題(デュアルタスク)トレーニングの重要性
デュアルタスク・トレーニングとは、文字通り「2つの課題(タスク)を同時に行う練習」のことです。
具体的には、
- 運動課題(Motor Task): 歩く、足踏みする、バランスを取る
- 認知課題(Cognitive Task): 計算する、しりとりをする、物を数える
これらを組み合わせて行うことで、脳の前頭葉を活性化させ、注意機能の分配能力(あっちもこっちも同時に注意を向ける力)を鍛えます。
このトレーニングの3つのメリット
① 転倒リスクの軽減
日常生活での転倒は、何かに集中している時ではなく、「ふとした瞬間」に起こります。トイレに行こうとして考え事をしていた時、急に電話が鳴って振り向いた時などです。デュアルタスク能力を高めることは、直結して転倒予防になります。
② すくみ足の改善・予防
「横断歩道の信号が点滅し始めた(焦り=認知負荷)」時に足が出なくなるような状況に対し、脳がパニックにならずに処理する能力を養います。
③ 生活範囲の拡大(QOL向上)
「散歩中に友人に会っても、立ち止まらずに挨拶ができる」「スーパーでカゴを持ちながら商品を選べる」。こうした自信がつくと、外出への恐怖心が減り、活動的な生活を取り戻すことができます。
3. 【最重要】自宅トレーニングを始める前の「安全の掟」
具体的なメニューに入る前に、必ず守っていただきたい安全上のルールがあります。 デュアルタスク・トレーニングは、脳にわざと負荷をかける練習です。つまり、通常よりも転倒リスクが高い状態を作り出します。
以下の条件を満たさない場合は、決して一人では行わず、必ずご家族の見守りがある状態、あるいは理学療法士などの専門家がいる環境で行ってください。
ルール1:環境設定を徹底する
- 床に物が落ちていないか確認してください(カーペットのめくれ、コード類など)。
- 転んでもすぐに掴まれる手すりや、安定した家具のそばで行ってください。
- 椅子はキャスターが付いていない、安定したものを使用してください。
ルール2:体調(On/Off)を見極める
- パーキンソン病のお薬が効いている時間帯(Onの状態)に行いましょう。
- 薬の効果が切れて体が動きにくい時(Offの状態)や、ふらつきが強い時に無理に行うと逆効果になり、怪我の元です。
ルール3:「ながらスマホ」はリハビリではない
- リハビリとしてのデュアルタスクと、単なる不注意は違います。スマホを見ながら歩くのは非常に危険なデュアルタスクですので、これはやめましょう。
ルール4:最初は「座って」から
- 自信がある方でも、まずは座った状態でのトレーニングから始めてください。脳の疲労度を確認するためです。
4. 実践!レベル別デュアルタスク・トレーニング
ここからは、難易度別にトレーニングメニューをご紹介します。 「少し難しいけれど、頑張ればできる」というレベルが、脳にとって最も良い刺激になります。簡単にできすぎる場合はレベルを上げ、失敗ばかりしてしまう場合はレベルを下げてください。
レベル1:座ってできる「脳トレ×手足の運動」
転倒のリスクがない、安全なスタートラインです。
メニューA:足踏み+しりとり
- 椅子に深く腰掛け、姿勢を正します。
- 「イチ、ニ、イチ、ニ」とリズムよく足踏みをします(太ももをしっかり上げましょう)。
- 足踏みを続けながら、一人で(あるいはご家族と)「しりとり」を行います。
- 例:「りんご」→「ゴリラ」→「ラッパ」…
- ポイント: 考えるときに足が止まらないように注意してください。
メニューB:グーパー運動+引き算
- 両手を前に出し、「グー」「パー」と交互に繰り返します。
- 手を動かしながら、100から7を順番に引いていきます(連続減算)。
- 例:「100、93、86、79…」
- 難易度調整: 難しい場合は「100から3を引く」、あるいは「野菜の名前を言う」に変えてみましょう。
レベル2:立位・足踏みでの「バランス×計算」
立った状態で行います。必ず手すりや壁の近くで行ってください。
メニューC:その場足踏み+逆さ言葉
- 壁や手すりの近くに立ちます(不安な方は片手を添えてください)。
- その場で足踏みをします。
- 出された単語(あるいは目に入ったもの)を、逆から言います。
- 例:「みらいず」→「ずいらみ」、「とけい」→「いけと」
- ポイント: 言葉を考える瞬間に、バランスが崩れないよう意識をお腹(体幹)に置きます。
メニューD:ステップ+お手玉(投動作)
- 立った状態で、お手玉(あるいは丸めた靴下)を上に投げてキャッチします。
- これに慣れたら、「足踏みをしながら」お手玉を投げてキャッチします。
- 注意: お手玉を目で追うとふらつきやすくなります。ご家族が見守りを行ってください。
レベル3:歩行・応用「移動×作業」
実際の生活動作に近い、高度なトレーニングです。広いスペース、または廊下などで行います。
メニューE:ウォーキング+しりとり/計算
- 家の中の廊下などを歩きます。
- 歩きながら、しりとりや計算を行います。
- ミライズ流アレンジ: 家族様が途中であえて「ストップ!」と声をかけ、即座に止まる練習や、「右!」「左!」と指示を出して方向転換する練習を混ぜると、より実践的な「注意の切り替え」練習になります。
メニューF:トレイ運び(物品運搬課題)
- お盆(トレイ)の上に、空のプラスチックコップを置きます。
- それを落とさないように持ちながら歩きます。
- 慣れてきたら、コップの中に少量の水(こぼれても良い量)や、お手玉を入れて重さを変えてみます。
- ポイント: 手元ばかり見ずに、進行方向を見て歩くように意識します。視覚情報と平衡感覚を統合する高度な練習です。
5. 日常生活の中にリハビリを溶け込ませる工夫
特別な時間を設けなくても、日常生活のちょっとした動作を「デュアルタスク・トレーニング」に変えることができます。これを習慣化することが、機能維持の近道です。
・洗濯物をたたみながら、テレビのニュースを聞く
◦ニュースの内容を後で誰かに話せるように集中しながら、手は止めずに洗濯物をたたみます。
・食器を洗いながら、歌を歌う
◦好きな歌の歌詞を間違えずに歌いながら、食器を洗います。リズム運動効果も期待できます。
・CMの間だけ、手足の運動をする
◦テレビを見ている時、CMに入ったら「足首を回す」「手の指を動かす」などのルールを決めます。「合図(CM)」に反応して「動作(運動)」を開始する練習です。
6. 「できなくなった」と落ち込む前に:リハビリ専門職の役割
ここまで、ご自宅でできる方法をお伝えしましたが、実際には「自分一人では難しい」「これで合っているのか不安」と感じる方も多いと思います。
また、パーキンソン病の症状は日によって、時間によって変動します。「昨日はできたのに、今日はできない」ということが頻繁に起こります。これで自信を喪失してしまい、リハビリをやめてしまうのが一番もったいないことです。
ミライズのリハビリは何が違うのか?
脳梗塞リハビリミライズでは、国家資格を持つ経験豊富なセラピスト(理学療法士・作業療法士)とトレーナーが、マンツーマンで本人様の状態にあったリハビリを提供します。
- 「ちょうど良い」難易度の設定
- 簡単すぎると脳への刺激にならず、難しすぎると失敗体験による自信喪失や転倒のリスクになります。プロの目で、その日の体調に合わせた「限界ギリギリの最適な負荷」を設定します。
- 質の高いフィードバック
- 「今の足の出方は良かったです」「今、計算した時に姿勢が崩れましたね」といった、自分では気づかない微細な変化をフィードバックします。脳は正しいフィードバックを受けることで、学習効率が飛躍的に高まります。
- 環境調整のアドバイス
- ご自宅の廊下の幅、トイレの位置、普段使っている椅子などを考慮し、生活動線の中で安全に動くための具体的なアドバイスを行います。
7. まとめ:脳は何歳からでも学習できる
パーキンソン病は進行性の難病と言われますが、適切なリハビリテーションと服薬管理によって、機能を長く維持し、生活の質を保つことは十分に可能です。
今回ご紹介した「二重課題(デュアルタスク)トレーニング」は、脳に新しい回路を作らせるための強力なツールです。「歩きながら考える」ことが少しでも楽になれば、お出かけの楽しさや、ご家族との会話の喜びも増えていくはずです。
しかし、決して無理はしないでください。 「今日は調子がいいから、座って計算しながら足踏みをしてみようかな」 まずはそのくらいの軽い気持ちで、生活の中に小さな「脳への挑戦」を取り入れてみてください。
もし、 「自分に合ったリハビリメニューを作ってほしい」 「最近、家の中で転びそうになることが増えて不安」 「もっと専門的なリハビリを受けて、今の機能を維持したい」
そのようにお考えの際は、ぜひ一度「脳梗塞リハビリミライズ」にご相談ください。 私たちは、患者様ご本人はもちろん、支えるご家族様の「不安」にも寄り添い、医学的な根拠に基づいたリハビリで「これからの生活」をサポートします。
あなたの「やりたいこと」を諦めないために。まずは体験リハビリで、お体の可能性を確認してみませんか?
いかがでしたか?
みなさまの健幸の一助になれたなら幸いです。
引き続き、よろしくお願いいたします!
株式会社エイジエル
脳梗塞リハビリMe:RIZE
理学療法士 梅田 裕記

【脳梗塞リハビリミライズとは】
奈良や大阪を中心に脳卒中などのリハビリにお困りの方々へ自費リハビリを提供している理学療法士を中心としたオーダーメイドのリハビリ施設です。
またボツリヌス療法の第一人者である勝谷将史医師に定期的に起こし頂き、脳卒中特有の筋肉のこわばりを軽減させるボツリヌス療法や装具外来をサービスの一つに持ち、医師の指示の下、安全にリハビリを受けることが可能なリハビリ施設でもあります。
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