みなさんこんいちは。奈良県香芝市にある自費のリハビリ施設
脳梗塞リハビリMe:RIZE(ミライズ)の理学療法士
城内 洋人です。
今日は、脊髄小脳変性症の発症要因、発症時の対応、効果的なリハビリについて
お話できればと思います。ぜひ最後までお付き合いください。
脊髄小脳変性症(SCD:Spinocerebellar Degeneration)は、小脳や脊髄の神経細胞が徐々に変性・消失することにより、主に運動失調を引き起こす進行性の神経変性疾患の総称です。日本では指定難病18に分類されており、全国で約3万人以上の患者がいると推定されています。
主な症状
SCDの主症状は運動失調で、以下のような症状が見られます:
歩行時のふらつき:バランスを取ることが難しくなり、転倒しやすくなります。
手の震えや細かい動作の困難:箸を使う、字を書くなどの動作がしにくくなります。
ろれつが回らない(構音障害):発話が不明瞭になることがあります。
眼球運動障害:眼振や追視困難などが生じることがあります。
自律神経症状:起立性低血圧、排尿障害、発汗異常などが見られることがあります。
これらの症状は徐々に進行し、日常生活に支障をきたすようになります。
分類と原因
SCDは大きく「遺伝性」と「非遺伝性(孤発性)」に分けられます:
遺伝性
遺伝性SCDは、さらに以下のように分類されます:
常染色体優性遺伝性(AD-SCD):親から子へ50%の確率で遺伝します。日本で多いタイプには以下があります:
SCA3(マチャド・ジョセフ病):小脳失調、パーキンソニズム、末梢神経障害などが見られます。
SCA6:中年以降に発症し、純粋小脳失調を呈します。
SCA31:日本人特有で、50代以降に発症することが多いです。
DRPLA(歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症):発症年齢により症状が異なり、子どもでは重症化しやすいです。
常染色体劣性遺伝性(AR-SCD):両親からの遺伝子異常が必要で、小児期に発症することが多いです。代表的なものにフリードライヒ運動失調症がありますが、日本では稀です。
非遺伝性(孤発性)
家族歴がなく、加齢や環境要因などが関与すると考えられています。主なタイプには以下があります:
多系統萎縮症(MSA):小脳型(MSA-C)とパーキンソン型(MSA-P)に分けられ、自律神経症状も伴います。
皮質性小脳萎縮症(CCA):純粋小脳失調を呈し、進行が緩やかです。
診断と治療
診断
SCDの診断には以下の方法が用いられます:
神経学的診察:運動失調や眼球運動障害などの症状を評価します。
画像検査:MRIやCTで小脳や脳幹の萎縮を確認します。
遺伝子検査:遺伝性が疑われる場合に行われます。
治療
現時点でSCDを根本的に治す治療法は確立されていませんが、症状の進行を遅らせ、生活の質を維持するための対症療法が行われます:
薬物療法:運動失調に対してはTRH誘導体(タルチレリンなど)が使用されます。
リハビリテーション:理学療法や作業療法、言語療法などが症状の進行を遅らせ、日常生活の自立を支援します。
生活環境の整備:転倒防止のための手すり設置や、嚥下障害への対応などが重要です。
また、遺伝子治療や核酸医薬などの新たな治療法の研究も進められており、将来的な治療の選択肢として期待されています。
予後と生活支援
SCDの進行速度や予後は病型や個人差によりますが、一般的にはゆっくりと進行します。適切なリハビリテーションや生活支援を受けることで、生活の質を維持することが可能です。また、患者会や支援団体も存在し、情報提供や交流の場として活用されています。
ご自身やご家族がSCDと診断された場合、専門の医療機関での継続的な診療と、リハビリテーションが重要なカギとなります。
次に脊髄小脳変性症(SCD)の発症要因について、遺伝性と非遺伝性に分けて詳しくご説明します。
- 遺伝性脊髄小脳変性症(約30%)
主に 常染色体優性遺伝(AD-SCD)で、CAGリピートの異常延長などが原因となることが多いです。
例:SCA1、2、3(マチャド=ジョセフ病)、6、7、17、DRPLA(歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症)、SCA31 など。
病態メカニズム:
DNA中の三塩基(CAG)リピート異常によって異常タンパク質が生成され、これが核内で凝集体を形成 → 神経細胞の機能障害・脱落が進むと考えられています。
加えて、転写制御の阻害・タンパク質凝集・ユビキチンプロテアソーム系の破綻・カルシウム恒常性の乱れ といった細胞レベルの障害も発症の主要因とされています 。
その他の遺伝形式:
常染色体劣性遺伝、X連鎖、ミトコンドリア遺伝子病などが稀に報告されています。
- 孤発性(非遺伝性)脊髄小脳変性症(約70%)
家族歴なく発症し、多くが 多系統萎縮症(MSA) に分類されます。
MSAでは、以下のような グリア細胞質内封入体(α-シヌクレイン) の異常蓄積が認められ、これが神経細胞の機能障害・脱落につながると考えられています。
一部には 痙性対麻痺 など、他の孤発性型もありますが、ごく稀です。
- その他・二次性
脳梗塞や中毒、栄養障害、自己免疫、ミトコンドリア病やプリオン病など、明らかな病因による二次的な小脳脊髄変性も存在しますが、これらは本来のSCDとは区別されています。
〇まとめ表
発症要因 主なメカニズム
遺伝性(約30%) CAGリピート異常 → 異常凝集タンパク、遺伝子変異
孤発性(約70%)多系統萎縮症 α-シヌクレイン蓄積によるグリア病変
その他の二次性疾患 感染・血管障害・中毒・代謝異常など
〇 結論
遺伝性では、三塩基リピートの異常が神経変性を引き起こす仕組みが明らかになってきています。
一方で、孤発性やMSA型ではα-シヌクレイン蓄積などのグリア細胞障害が中心。
その他、二次性という原因もあるため、正確な診断と原因精査が重要です。
さらに知りたい項目(特定型の発症年齢、診断方法、最新の遺伝子治療など)があれば、お知らせください。【要因】をきっかけにどのように進行し、どのように個々に対策が異なるのか、この先も深くご案内できます。
次に「発症時の対応(初期対応)」になります。
- 早期受診と鑑別診断
神経内科受診
歩行不安・構音障害などの小脳症状が出たら、まずは専門医(神経内科)への速やかな受診を。緊急性の高い脳梗塞や脳出血といった二次性原因も考えられ、迅速な診断が重要です。
鑑別検査
MRIやCTで小脳・脳幹の萎縮や病変を確認し、血液検査や脳波、さらに必要に応じて脳シンチグラフィやPET検査を行って、他疾患を除外します。
- 遺伝性の可能性への対応
家族歴や遺伝子検査の検討
家族歴がある場合は、遺伝子検査(CAGリピート伸長など)を検討し、遺伝カウンセリングも併用します 。
心理・倫理的配慮
遺伝性疾患の検査結果は精神的負担が大きいため、臨床遺伝専門医やカウンセラーのサポートが推奨されます 。
- 対症療法の開始
薬物療法
運動失調には、保険適用のTRH(甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン)誘導体が用いられ、リズムや症状の進行を緩和します。
合併症対応
MSAなど自律神経症状がある場合は、起立性低血圧・排泄障害などに対する個別の対策と薬物治療が必要です。
- リハビリテーションと生活支援
理学・作業・言語療法
転倒予防や日常動作の維持を目的に、体幹トレーニング・歩行練習・構音訓練など早期から介入します。
環境改善
手すり設置や家具配置、コミュニケーション補助具(文字盤、ボード等)など、生活環境の調整が重要です 。
- 多職種による包括ケア
チーム医療
神経内科医、リハビリ専門職、看護師、ケアマネ、臨床遺伝医などが連携し、身体機能の維持・介護負担軽減・精神的支援を行います 。
公的支援の申請
脊髄小脳変性症は指定難病であり、早期診断後に「特定疾患」の医療費助成の手続きを行うことで経済的支援が得られます。
〇まとめ:発症時の初期対応の流れ
症状の自覚後、速やかに神経内科での診療
画像検査等で二次性疾患を排除
遺伝的要因に応じて、遺伝子検査とカウンセリング
運動失調に対するTRHなどの薬物療法開始
早期からの包括的リハビリと環境調整
多職種連携体制で生活支援と患者・家族のケア
必要に応じた公的支援制度の活用
これらの対応を迅速かつ継続的に行うことで、症状の進行を抑え、生活の質の維持に繋がります。
次に効果的なリハビリテーションについて、科学的・臨床的視点からポイントをお伝えしますね。
- 基本プログラム:バランス・歩行・反復練習
フレンケル体操
ゆっくり反復し、視覚や感覚入力を利用して小脳代償を促す。20,000回以上の反復で改善が見られるといわれています。
バランス訓練
バランスボードや安定性ボール、重心移動訓練などを通じ、支持基底を意図的に狭めて挑戦し続けることでバランス機能を向上させます 。
歩行訓練
トレッドミルや歩行補助具を使用。段差、障害物、後ろ歩きなどを多様に取り入れることで動作学習と転倒予防効果があります 。
- 筋力・体幹強化+廃用症候群予防
体幹トレーニング
ドローイン、プランク、四つ這いの「ダイアゴナル」などで姿勢制御力を高めます。
筋力訓練
スクワット、レッグプレス、ゴムバンドや軽ウエイトによる反復運動で下肢・上肢の持久力と筋力を維持。
廃用症候群対策
初期段階から定期的なリハビリが必要です。進行時には椅子や臥位での体操へ切替えて継続します 。
- 感覚刺激+補助手段
重りや弾性包帯の活用
手首200〜400 g、足首300〜600 g、腰には1 kg程度の重りや包帯で感覚入力を高め、運動失調が緩和されるという実績もあります。
PNF(固有受容性神経筋促通法)
緩やかなスローリバーサルやリズミックスタビリゼーションなど、神経筋反応を高める運動法が有用です 。
- 水中療法・ピラティスなどの補助療法
アクアセラピー
水中では関節負担が減りつつ体幹・バランス訓練が可能です 。
ピラティス・背骨コア刺激
呼吸を意識し、インナーマッスルを活性化。胸郭可動性を高めることで、姿勢制御に有効と言われています。
- 先進技術・高強度訓練
反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)+運動療法
非侵襲的脳刺激との併用で運動機能改善が期待されています 。
高強度エアロビクス+エラー増強
心拍数75–85%maxを目安に歩行・障害物越えなどを高頻度で反復し、誤差を取り入れながら行う方法も有効 。
VRやゲーム性を取り入れたリハビリ
バーチャルリハやReHabgameなど、モチベーション向上と高頻度練習に有用。初期研究ですが一部で効果報告があります。
- 非運動症状へのフォロー
構音・嚥下訓練
音声リハ・嚥下練習、口腔・舌のトレーニングを含む包括的プログラムが推奨されます 。
認知・視覚的支援
必要に応じて視覚刺激・認知トレーニングも組み込みます 。
〇 実践ポイントまとめ
項目 内容
早期かつ継続的実施 進行性疾患につき、初期から毎日の習慣化が重要
個別化メニュー 症状・進行度に応じて難易度調整
多様なアプローチ 感覚入力・心理的モチベーションも取り入れる
高強度・先進技術併用 rTMSやVRなども選択肢に
〇 結論
効果的リハビリは:
バランス・歩行・反復練習を中心に、
筋力・体幹強化と廃用予防、
重り・包帯など感覚刺激の補助、
必要に応じて水中・ピラティス・高強度運動・先端技術を加え、
構音・嚥下・認知面も包括的に対応
早期から継続・個別化・多職種連携がカギとなります。
いかがでしたか?
我々ミライズの活動が、みなさまの健幸の一助になれば幸いです。
引き続き、よろしくお願いいたします。
株式会社エイジエル
脳梗塞リハビリMe:RIZE
城内 洋人

【脳梗塞リハビリミライズとは】
奈良や大阪を中心に脳卒中などのリハビリにお困りの方々へ自費リハビリを提供している理学療法士を中心としたオーダーメイドのリハビリ施設です。
またボツリヌス療法の第一人者である勝谷将史医師に定期的に起こし頂き、脳卒中特有の筋肉のこわばりを軽減させるボツリヌス療法や装具外来をサービスの一つに持ち、医師の指示の下、安全にリハビリを受けることが可能なリハビリ施設でもあります。
リハビリが必要な方へ
必要な時、必要なだけ我々はリハビリをご提供いたします。
ミライズはあなたの未来を諦めません!
無料体験実施中です。
お問合せお待ちしております。