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脳血管障害後遺症

脳卒中(脳血管障害)について

2024年に公表された厚労省の人口動態統計月報年計(概数)によると、主な死因の割合で「脳卒中」は男女ともに4位となっています。医学の進歩や早期は発見と対応ができるようになったこともあり、死亡リスクは低下してきております。
しかし、一方では2022年の厚生労働省の国民生活基礎調査より、介護が必要になった主な原因として、「脳卒中」は2位となっています。介護が必要になる原因になりやすい病気となっております。ミライズの7~8割の方が脳卒中での利用となっております。

脳卒中は、脳の血流が突然に途絶え、脳の一部が機能しなくなる病気です。脳卒中は主に大きく2種類に分けられます。

  1. 脳梗塞:脳の血管が血栓(血の塊)や他の物質によって詰まり、血流が途絶えます。これが脳卒中の約70~80%を占めます。
  2. 脳出血:脳の血管が破れて出血し、脳内に血液が漏れ出します。これが脳卒中の約20%を占めます。

今回は脳梗塞について簡単にお伝えします。

脳梗塞(のうこうそく)とは、脳の一部に血流が止まり、脳細胞が酸素や栄養を受け取れなくなる状態です。これにより、脳細胞が壊れてしまい、様々な神経機能が低下し、様々な症状を認めます。

脳梗塞前の症状

脳梗塞の前兆や予兆と呼ばれる症状は、脳に十分な血液が供給されなくなる前に現れることがあります。これを「一過性脳虚血発作(TIA)」と呼びます。TIAは短時間で症状が消えることがありますが、放置すると本格的な脳梗塞につながるリスクが高まります。以下のような症状が見られます。

  1. 突然の片側の身体の麻痺やしびれ:特に顔、腕、または脚に現れることが多いです。
  2. 言語障害:言葉がうまく出てこない、他人の話が理解できないといった症状。
  3. 視覚障害:片方の目が見えにくくなる、視野の一部が欠けるなど。
  4. 激しい頭痛:特に原因不明の突然の頭痛が発生することがあります。
  5. めまいやバランス感覚の異常:突然のめまい、バランスを取るのが難しくなるなど。

脳梗塞の主な原因

  1. 血栓: 脳の血管に詰まった血液塊が原因で血流が止まることがあります。
  2. 動脈硬化: 脳の血管が硬くなり、血流が滞ることがあります。
  3. 高血圧: 高い血圧が血管を傷つけ、血流が止まることがあります。
  4. 糖尿病: 糖尿病が血管を損傷させ、脳梗塞のリスクを高めることがあります。

このような原因はある方は脳梗塞になる可能性が高くなります。

脳梗塞になりやすい血管

脳梗塞は、脳内のいくつかの特定の血管に起こりやすい。これらの血管は、脳の重要な部分に血液を供給するため、詰まると重大な影響を及ぼすことがあります。主に次の血管が関与します。

内頚動脈(ないけいどうみゃく)

内頚動脈は、首から脳に血液を送る主要な動脈であり、脳梗塞が発生しやすい血管です。内頚動脈の狭窄や閉塞は、広範囲にわたる脳の領域に影響を与えます。

中大脳動脈(ちゅうだいのうどうみゃく)

中大脳動脈は、内頚動脈から分岐し、脳の側面(前頭葉、頭頂葉、側頭葉)に血液を供給します。この動脈が詰まると、片麻痺や言語障害などの症状が現れることがあります。

椎骨動脈(ついこつどうみゃく)

椎骨動脈は、頚椎の中を通り、脳底動脈に合流します。後脳部(小脳、脳幹)に血液を供給しており、ここでの脳梗塞はバランス感覚や運動調整に影響を与えます。

脳底動脈(のうていどうみゃく)

脳底動脈は、椎骨動脈から成り、脳幹や小脳、大脳の後部に血液を送ります。ここでの脳梗塞は、生命維持に関わる重要な機能に影響を与える可能性があります。

脳梗塞の症状について詳しく教えて

脳梗塞の症状は、突然現れることが多く、症状の種類や重篤度は、脳のどの部分が影響を受けたかによります。主な症状には次のようなものがあります:

脳の役割

脳は人間の体の中で最も重要かつ複雑な器官の一つで、知覚、感情、思考、行動などの多くの機能を司ります。脳のどの部位に脳梗塞が発生するかによって、症状や影響は大きく異なります。以下は脳の主要な部分とその役割の概要です。

大脳

大脳は脳の大部分を占め、以下のように分けられます。

  • 前頭葉: 思考、計画、運動の制御を担当します。ここに脳梗塞が発生すると、意思決定や動作に影響が出ることがあります。
  • 側頭葉: 記憶、言語理解、聴覚を担当します。ここに脳梗塞が発生すると、記憶障害や聴覚の問題、言語理解の問題が生じることがあります。
  • 頭頂葉: 感覚情報の統合、空間認知を担当します。ここに脳梗塞が発生すると、感覚情報の処理に問題が出たり、空間認知が難しくなることがあります。
  • 後頭葉: 視覚情報の処理を担当します。ここに脳梗塞が発生すると、視力障害や視野の欠損が生じることがあります。

小脳

小脳は運動の調整、バランスの維持に重要な役割を果たします。ここに脳梗塞が発生すると、協調運動が難しくなったり、バランスを取るのが難しくなることがあります。

脳幹

脳幹は、呼吸や心拍数などの基本的な生命機能を制御します。ここに脳梗塞が発生すると、生命を脅かすような重篤な症状が現れることがあります。例えば、呼吸が止まったり、意識がなくなったりすることがあります。

脳梗塞の主要な症状

  1. 片麻痺: 体の片側が急に動かなくなったり、しびれたりします。特に顔、腕、脚に現れることが多いです。
  2. 言語障害: 言葉がうまく話せなくなったり、理解することが難しくなります。これを失語症といいます。
  3. 視力障害: 一方の目が見えなくなったり、視野が狭くなったりします。
  4. 歩行困難: 平衡感覚を失い、歩くことが難しくなります。
  5. 意識障害: 意識がもうろうとしたり、昏睡状態に陥ることがあります。
  6. 突然の激しい頭痛: 特に出血性の脳梗塞の場合、激しい頭痛が現れることがあります。
  7. 高次脳機能障害: 脳の高次機能(計画、判断、記憶、言語など)に影響を及ぼす障害です

特に高次脳機能障害においては、以下のような特徴的な症状を認めます。

  計画・問題解決の困難:日常生活での計画立てや問題解決が難しくなります。   たとえば、買い物リストを作る、料理の手順を考えるなどの作業に時間がかかったり、ミスが多くなったりします。

  注意力の低下:複数のタスクを同時にこなすことが難しくなります。また、注意を持続するのが難しくなり、集中力が続かなくなることがあります。

  判断力の低下:適切な判断を下す能力が低下し、リスクのある行動や不適切な選択をすることが増えることがあります。

  記憶力の低下:新しい情報を覚えるのが難しくなり、短期記憶が弱くなることがあります。また、過去の出来事や人の名前を思い出すのが難しくなることもあります。

  空間認識の困難:空間内での位置関係や物の配置を理解するのが難しくなり、道に迷いやすくなることがあります。

脳梗塞の治療法

脳梗塞の治療法にはいくつかの方法があります。以下に主な治療法を紹介します。

薬物療法:脳梗塞の初期治療には、血栓溶解薬が使用されます。発症から4.5時間以内に行うと効果的な治療法です。血栓を溶解する薬剤を投与します。これにより血栓を溶かし、再発を防ぐことができます。

外科的治療:場合によっては、血栓を取り除くための血管内治療(例:血管内カテーテル治療)や、血管の狭窄を改善するためのバイパス手術が行われることがあります。

リハビリテーション:脳梗塞後の機能回復を目指して、理学療法や作業療法や言語療法が行われます。これにより、歩行や日常生活の自立をサポートします。

脳梗塞の予防

  • 健康的な食事: バランスの取れた食事を心がけることが重要です。
  • 適度な運動: 定期的な運動を続けることで、血流を良くすることができます。
  • 禁煙: タバコは血管を傷つけるため、禁煙が推奨されます。
  • 血圧管理: 高血圧をコントロールすることが重要です。

生活習慣の改善:高血圧、高血糖、喫煙などのリスク要因を管理し、健康的な食事や適度な運動を心がけることが重要です。

脳出血について

脳出血とは、脳の血管が破裂して出血が起こり、脳内に血液が漏れ出す状態を指します。この出血によって脳細胞が損傷し、さまざまな神経障害が引き起こされることがあります。

脳出血の主な原因

1.高血圧:高血圧が最も一般的な原因であり、長期間にわたって血管に強い圧力がかかることで、血管が弱くなり、破裂しやすくなります。

2.動脈瘤:脳の血管にできる弱い部分が膨らみ(動脈瘤)、それが破裂することで出血が起こります。

3.外傷:頭部への強い衝撃や外傷も脳出血の原因になります。

4.血液障害:血液の凝固異常や抗凝固薬の使用が脳出血のリスクを高めることがあります。

脳出血の分類と病態

脳出血はその発生場所により以下のように分類され、それぞれ異なる病態を呈します。

1. 脳内出血

脳内出血は脳実質内での出血を指し、特に高血圧が主な原因となります。高血圧による血管の損傷が蓄積し、最終的に破裂に至ることが多いです。出血した血液が脳組織を圧迫し、神経細胞に損傷を与えるため、重篤な神経障害を引き起こします。

2. クモ膜下出血

クモ膜下出血はクモ膜下腔での出血を指し、動脈瘤の破裂が最も一般的な原因です。クモ膜下腔に出血が広がると、脳脊髄液の循環が妨げられ、急激な頭痛や意識障害が発生します。脳の表面に広がるため、広範囲にわたる神経症状を引き起こすことがあります。

3. 硬膜下出血

硬膜下出血は硬膜下腔での出血を指し、主に頭部外傷が原因となります。血液が硬膜下腔に溜まることで脳を圧迫し、慢性的な頭痛や認知障害を引き起こすことがあります。急性硬膜下血腫は外傷直後に症状が現れ、緊急手術が必要な場合が多いです。

4. 硬膜外出血

硬膜外出血は硬膜外腔での出血を指し、頭部外傷後に発生しやすいです。出血量が多い場合、急速に脳を圧迫し、生命に危険が及ぶことがあります。早期の診断と治療が重要です。

病態の進行

脳出血の病態は、出血の量と場所によって異なります。出血が発生すると、以下のような病態が進行します。

・血腫の形成

出血した血液が脳内に溜まり、血腫を形成します。血腫は脳組織を圧迫し、神経細胞の機能を妨げます。

・ 脳浮腫の発生

出血による炎症反応や血液成分の漏出により、脳組織が腫れ(脳浮腫)、圧力がさらに増加します。これにより、脳内の血流が悪化し、さらなる組織損傷が引き起こされます。

・二次的な出血

初期の出血が続く場合や新たな血管が破れることにより、二次的な出血が発生することがあります。これにより、病態がさらに悪化します。

・神経細胞の壊死

出血や浮腫による圧迫により、酸素や栄養の供給が途絶えた神経細胞が壊死し、永続的な神経障害を引き起こすことがあります。

脳出血が特定の部位で起こった場合の主な症状

1. 大脳半球の出血

大脳半球の出血は、その発生場所によって異なる症状が現れます。

左半球の出血

・右半身の麻痺(片麻痺): 左大脳半球は体の右側を制御しているため、右半身の筋力低下や麻痺が発生します。

・言語障害(失語症): 言語を司るブローカ野やウェルニッケ野が損傷されると、言語の生成や理解が困難になります。

  • ブローカ失語症: 言葉を話すのが難しいが、理解は比較的良好。
  • ウェルニッケ失語症: 流暢に話すが、意味のある言葉を生成できず、理解も困難。

・視野欠損: 視覚情報を処理する後頭葉の損傷により、視野の一部が欠けることがあります。

右半球の出血

・左半身の麻痺(片麻痺): 右大脳半球は体の左側を制御しているため、左半身の筋力低下や麻痺が発生します。

・空間認知障害: 右半球は空間認知を司っているため、患者は物体や体の位置関係を正しく認識できなくなることがあります(例:左側の物を無視する)。

・視野欠損: 左半球と同様に、視覚情報を処理する後頭葉の損傷により、視野の一部が欠けることがあります。

2. 小脳の出血

小脳は運動の調整やバランスを保つ役割を果たしています。小脳の出血による症状は以下の通りです。

・運動失調::小脳は運動の協調性を司っているため、手足の動きがぎこちなくなり、バランスを保つのが難しくなります。

・頭痛と嘔吐::小脳の出血は脳圧の上昇を引き起こし、激しい頭痛と嘔吐を引き起こすことがあります。

・眼振::目が不規則に動く症状で、視覚の安定性が損なわれます。

・構音障害::話すことが難しくなることがあります。

3. 脳幹の出血

脳幹は生命維持に関わる重要な機能を司っています。脳幹の出血は非常に危険で、以下のような症状が現れます。

・意識障害::脳幹は意識を維持する役割を果たしているため、意識混濁や昏睡状態に陥ることがあります。

・呼吸困難::脳幹は呼吸を制御しているため、呼吸が不規則になり、最悪の場合、呼吸停止を引き起こすことがあります。

・心拍異常::心拍数や血圧の調整機能が損なわれ、不整脈や低血圧、高血圧が発生することがあります。

・四肢麻痺:脳幹は四肢の運動を制御しているため、全身の筋力低下や麻痺が発生することがあります。

4. 視交叉の出血

視交叉は視神経が交差する部位であり、視覚情報の処理に重要な役割を果たします。視交叉の出血は以下の症状を引き起こします。

・視野欠損:視交叉の出血により、視野の一部が見えなくなることがあります。具体的には、両眼の外側の視野が欠けることがあります。

・視覚障害:視覚の鮮明さが低下し、ぼやけたり二重に見えたりすることがあります。

・頭痛:視交叉の圧迫により、激しい頭痛が発生することがあります。

5. その他の部位

他の部位での脳出血も様々な症状を引き起こします。

・基底核出血:運動の調整が損なわれ、震えや筋強直(硬直)が発生することがあり    ます。

・視床出血:視床は感覚情報の中継点であり、感覚麻痺や視覚障害、運動障害が発生することがあります。

・橋出血:脳幹の一部である橋の出血は、顔面の筋力低下、言語障害、飲み込み困難を引き起こすことがあります。

脳出血の治療法

脳出血の治療は出血の原因と程度によって異なります。一般的な治療法には以下が含まれます。

1. 薬物療法

高血圧の管理や出血を止めるための薬物が投与されます。特に血圧のコントロールが重要です。

2. 外科的治療

血腫の除去や出血源の修復を行うための外科的治療が必要な場合があります。例えば、開頭手術や血管内治療(コイル塞栓術)などが行われます。

3. リハビリテーション

麻痺や言語障害などの後遺症の回復を支援するために、理学療法、作業療法、言語療法などのリハビリテーションが行われます。

予後と生活の質

脳出血の予後は出血の場所と量、治療のタイミングによって大きく異なります。早期の診断と適切な治療が行われた場合、回復の可能性が高まりますが、後遺症が残ることもあります。

1. 後遺症

脳出血による後遺症としては、麻痺、言語障害、認知障害などがあります。これらの後遺症は患者の日常生活に大きな影響を及ぼすことがあります。

2. リハビリテーションとサポート

後遺症の回復には長期的なリハビリテーションが必要です。また、家族や介護者のサポートも重要な役割を果たします。

3. 生活習慣の改善

再発予防のためには、血圧の管理や健康的な生活習慣の維持が重要です。バランスの取れた食事、定期的な運動、禁煙、適度な飲酒が推奨されます。

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