みなさんこんにちは。奈良県香芝市の自費リハビリ施設
脳梗塞リハビリMe:RIZE(ミライズ)、理学療法士の城内洋人です。
今日は、脊柱管狭窄症の原因、発症時の対応、効果的なリハビリについてお話させていただきます。
ぜひ最後までお付き合いください。
「脊柱管(せきちゅうかん)」について、解剖学的な構造、役割、関連する疾患も含めて詳しく解説します。
■ 脊柱管(せきちゅうかん)とは?
脊柱管は、脊椎(背骨)によって構成されるトンネル状の構造であり、その中を脊髄(せきずい)という神経の束が通っています。脳からの命令を全身に伝える重要な神経の通り道です。
■ 脊柱管の構造
脊柱管は、以下の骨の構造によって囲まれています:
構造 内容
椎体(ついたい) 前方(体の内側)にある、椎骨の本体部分
椎弓(ついきゅう) 椎体の後ろにアーチ状に伸びる部分
椎間孔(ついかんこう) 脊柱管の左右にある神経の出口
また、脊柱は以下のように分かれています:
頚椎(けいつい):首の部分(7個)
胸椎(きょうつい):胸の部分(12個)
腰椎(ようつい):腰の部分(5個)
仙椎・尾椎(せんつい・びつい):骨盤の一部になる部分
これらが連結してできる中空の管が「脊柱管」です。
■ 脊柱管の中を通るもの
脊髄(せきずい): 中枢神経の一部で、脳と身体をつなぐ神経の幹
神経根(しんけいこん): 脊髄から枝分かれして、各部位へ行く神経
髄膜(ずいまく): 脊髄を保護する膜(硬膜・くも膜・軟膜)
脳脊髄液(のうせきずいえき): 脊髄を浮かせて保護する液体
■ 脊柱管の主な役割
脊髄を保護する
神経の通り道を確保する
衝撃を吸収し、神経への損傷を防ぐ
■ 脊柱管に関連する疾患
- 脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)
加齢や変性によって脊柱管が狭くなり、脊髄や神経が圧迫される病気
症状:
腰痛
下肢のしびれや痛み
歩行障害(間欠性跛行:歩くと痛み、休むと回復)
- 椎間板ヘルニア
椎間板が飛び出して脊柱管内の神経を圧迫 - 脊髄腫瘍・外傷
脊柱管内の腫瘍や外傷による神経圧迫
■ 治療法(脊柱管狭窄症などの場合)
種類 内容
保存療法 薬物療法、リハビリ(温熱、ストレッチ、体幹強化)
ブロック療法 神経の周囲に局所麻酔を注射
手術療法 脊柱管の拡大術、椎弓切除術など
■ 予防・ケア
姿勢の改善(猫背を避ける)
適度な運動(特に体幹筋の強化)
体重管理
長時間の座位や前かがみ姿勢の回避
次に脊柱管狭窄症について記載します。
脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)は、中高年に多くみられる代表的な脊椎疾患です。ここでは、わかりやすく、かつ専門的に詳しく解説します。
■ 脊柱管狭窄症とは?
脊柱管狭窄症は、背骨の中にある脊柱管(神経の通り道)が何らかの原因で狭くなり、中の神経や血管が圧迫される状態です。
一般的には加齢によって発症することが多く、「神経の通り道が詰まり、しびれや痛みが出る」病気です。
■ 脊柱管狭窄症の種類
種類 特徴
腰部脊柱管狭窄症(ようぶ) 腰〜足に症状が出る(もっとも多い)
頚部脊柱管狭窄症(けいぶ) 首〜手足に症状が出る。進行すると歩行障害も
胸部脊柱管狭窄症(きょうぶ) 稀だが、体幹・下肢にしびれが出ることも
■ 主な原因
- 加齢による変性
椎間板の変性(潰れる、飛び出す)
椎骨の変形(骨棘:こつきょく)
靭帯の肥厚(黄色靭帯の肥厚など)
- 過去の外傷や手術の影響
- 先天的に脊柱管が狭い
■ 症状(特に腰部の場合)
症状 説明
間欠性跛行(かんけつせいはこう) 歩いていると足がしびれたり痛くなり、休むとまた歩けるようになる(典型的)
下肢のしびれ・痛み ふくらはぎや太ももに出る
腰痛 あまり強くはないが、慢性的なことが多い
前かがみで楽になる 買い物カートを押す姿勢だと楽になる(脊柱管が広がるから)
※頚部の場合は「手のしびれ・巧緻運動障害(箸が使いにくい等)」が出現。
■ 診断
▼ 問診・身体所見
歩ける距離や姿勢、しびれの位置などを確認
▼ 画像検査
MRI:神経の圧迫状態がよく分かる(最も有用)
CT:骨の変形を見るのに有効
X線:狭窄の程度は分かりにくいが、椎間板や骨の変化を評価
■ 治療法
- 保存療法(軽度〜中等度)
方法 内容
薬物療法 消炎鎮痛薬、筋弛緩薬、神経障害性疼痛薬(リリカなど)
リハビリ 体幹筋の強化、ストレッチ、姿勢矯正
ブロック注射 神経根ブロック、硬膜外ブロックで痛みを和らげる
装具療法 コルセットなどで腰の負担を軽減 - 手術療法(重度や保存療法で改善しない場合)
手術名 内容
椎弓切除術 神経の通り道を広げる代表的な手術
椎間拡大術・内視鏡手術 最小限の侵襲で行う方法もあり、入院日数が短くなる
■ 日常生活での注意点
長時間の立位・歩行を避ける
自転車や前かがみ姿勢での運動は有効
体重増加を防ぐ(腰への負担を軽減)
姿勢改善と体幹の筋トレが重要
■ リハビリのポイント(理学療法)
骨盤前傾を防ぐ姿勢指導
大腰筋・腹横筋・多裂筋の強化
股関節・ハムストリングスの柔軟性向上
歩行訓練(杖や歩行器を使用することも)
■ 似た疾患との鑑別
疾患名 鑑別ポイント
坐骨神経痛 椎間板ヘルニア由来のことが多い。しびれは片側のみのことが多い
閉塞性動脈硬化症 下肢の血管障害で似たような間欠性跛行を示す。脈が弱い・冷感などがある
変形性腰椎症 骨の変形主体。神経症状が目立たないことが多い
次に脊柱管狭窄症の発症時や悪化時の対応について、詳しくご説明します。
ポイントは「正確な評価」「痛みとしびれのコントロール」「悪化の防止」の3本柱です。
■ 発症・悪化時の基本対応フロー
症状の確認(問診)
安静・疼痛軽減
医療機関での診断(画像検査)
保存療法または手術の判断
日常生活指導・リハビリ導入
① 症状出現時にまず確認するべきこと
確認項目 内容
痛みの部位 腰・臀部・大腿・ふくらはぎ・足先など
しびれの範囲 両足か片足か、指先までか
歩行距離 何mでしびれや痛みが出るか(間欠性跛行)
姿勢の影響 前かがみで軽減するか?反らすと悪化するか?
膀胱・直腸障害の有無 尿が出にくい・失禁など → 緊急対応が必要
② 自宅での初期対応(軽症〜中等度)
方法 説明
安静 痛みが強い時は無理をせず休息。横になると神経への圧迫が軽減
冷却 or 温熱 炎症がある急性期(発症2〜3日)は冷却、それ以降は温熱で筋緊張を和らげる
鎮痛薬の内服 市販のNSAIDs(ロキソニン等)を適量使用(ただし胃への負担注意)
前かがみ姿勢をとる 台や枕に腕を置いて体を前傾させる姿勢が症状緩和につながることが多い
③ 医療機関での対応
▼ 受診の目安:
しびれや痛みが1週間以上改善しない
歩行距離が急激に短くなる
夜間の痛みが強い
膀胱直腸障害(排尿・排便異常)がある → 神経障害進行のサイン!
▼ 医師による対応:
MRI・CT・X線検査で圧迫の有無を確認
薬物療法(消炎鎮痛薬、神経障害性疼痛薬など)
神経ブロック(一時的な痛み緩和)
④ 重症例の緊急対応(レッドフラッグ)
以下の症状がある場合は早急に医療機関を受診してください(整形外科または救急):
両足の筋力が急に低下
排尿・排便のコントロールができない(膀胱直腸障害)
安静にしても強い激痛が持続
長時間立てない・歩けない
▶ これらは馬尾症候群の可能性があり、緊急手術が必要なケースもあります。
⑤ 急性期が落ち着いた後の対応(亜急性期~慢性期)
項目 内容
運動療法 柔軟性と体幹筋を中心にトレーニングを開始
生活習慣の見直し 姿勢、動作、座り方、歩行習慣の修正
装具の検討 コルセットや歩行補助具の導入を検討
再発防止指導 「反らす姿勢」を避ける、継続的な体幹筋の維持
■ リハビリ視点での「初期対応のポイント」
炎症・神経圧迫が落ち着くまで、無理な運動は避ける
「歩ける範囲での歩行」を維持し、完全な安静は避ける
ストレッチよりも「神経に優しいポジショニング」を優先
再評価(リスク管理)を常に行い、悪化の兆候に敏感に反応
■ 患者へのわかりやすい説明例(医療・リハビリ従事者向け)
「神経の通り道が少し狭くなって、神経が圧迫されている状態です。しばらくは無理せずに、痛みが出ない姿勢で過ごしてください。前かがみの姿勢は神経の圧迫をやわらげますので、休憩中には意識してみましょう。
次に脊柱管狭窄症に対する効果的なリハビリテーションについて記載します。
症状の軽減、機能回復、再発予防を目的として計画的に行う必要があります。
ここでは、理学療法士の視点も踏まえて、段階別に詳しく解説します。
■ リハビリテーションの目的
神経の圧迫によって生じる症状の軽減
姿勢や筋力の改善による根本原因へのアプローチ
再発・悪化の予防(生活動作の改善)
■ リハビリの基本原則
反らす動きは避ける(伸展位 NG)
前かがみ・屈曲位を活かす
無理な運動を避け、段階的に進める
「少し楽で、ちょっとしんどい」が基準
姿勢・筋力・柔軟性のバランス改善が鍵になります。
■ リハビリのステップ(3段階)
▶ ステップ① 急性期(痛みやしびれが強い時期)
内容 目的
安静と疼痛コントロール 神経の回復を促す
ポジショニング 腰椎前弯を減らす(膝下にクッションなど)
深呼吸・腹式呼吸 腹筋群の軽度な活性化
簡単な体位変換 座位・立位の維持訓練
避けるべき運動: 反る動き(例:うつ伏せで背中を反らす)
▶ ステップ② 亜急性期(症状が落ち着いてきた頃)
トレーニング 内容
体幹筋の活性化 ドローイン(腹横筋)、ブリッジ(多裂筋)など
股関節の柔軟性向上 大腿四頭筋・腸腰筋・ハムストリングスのストレッチ
軽い有酸素運動 自転車こぎ・ウォーキング(前かがみ姿勢可)
姿勢矯正 骨盤ニュートラル、反り腰改善
「運動後に痛みやしびれが悪化しないか」がリハビリ量の調整ポイントです。
▶ ステップ③ 慢性期(再発予防・生活動作改善)
アプローチ 内容
歩行訓練 1日数回に分けて歩行距離を徐々に延ばす
体幹筋トレーニング プランク・スクワットなどを導入(フォーム重視)
生活指導 座る・立つ・持つ動作の指導(腰椎に優しい動き方)
職業復帰訓練 介助・介護動作など専門的アプローチも含めましょう。
■ 具体的なリハビリ例(家庭でも可能)
● ドローイン(腹横筋トレーニング)
仰向け or 立位でお腹を軽くへこませる
10秒キープ × 10回
● 膝抱え運動(腰椎屈曲)
仰向けで両膝を胸に引き寄せる
20秒保持 × 3回
● ブリッジ(多裂筋・殿筋強化)
仰向けで膝を立て、お尻を持ち上げる
5秒キープ × 10回
● 前屈み姿勢での自転車こぎ(エアロバイク)
15分程度、無理のないペースで
■ 生活動作の指導ポイント
動作 注意点
立ち上がり 前かがみ → 足に体重移動して立つ
椅子に座る 深く座り、背もたれを使う。反り腰NG
荷物を持つ 中腰ではなく、膝を曲げて持ち上げる
長時間の立位 休憩をこまめに取り、1時間に1回は座る
■ 装具・道具の活用
ツール 利用目的
軟性コルセット 急性期や負担の大きい作業時に使用(常用は避ける)
杖・シルバーカー 歩行距離が短い人に。間欠性跛行の軽減
クッション・腰当て 椅子での座位サポートに有効
■ 成果を上げるための工夫(施設運営者・指導者向け)
セルフチェックシートの配布(運動後の痛みチェック)
動画による家庭用指導教材の活用などが有効と言われています。
いかがでしたか?
みなさまの健幸の一助になれたなら幸いです。
引き続き、よろしくお願いいたします。
株式会社エイジエル
脳梗塞リハビリMe:RIZE(ミライズ)
城内 洋人

【脳梗塞リハビリミライズとは】
奈良や大阪を中心に脳卒中などのリハビリにお困りの方々へ自費リハビリを提供している理学療法士を中心としたオーダーメイドのリハビリ施設です。
またボツリヌス療法の第一人者である勝谷将史医師に定期的に起こし頂き、脳卒中特有の筋肉のこわばりを軽減させるボツリヌス療法や装具外来をサービスの一つに持ち、医師の指示の下、安全にリハビリを受けることが可能なリハビリ施設でもあります。
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